『Hundred Days』はワイナリーの運営を任されたプレイヤーがイチからワイン作りを行うシミュレーションゲームだ。
従来のシムとは異なり、パズル&カードゲームのような制限とターンを組み込んだシステムを採用している。
素人には全く分からない製法の違いもわかりやすく説明され、細かな調整を繰り返してワインの品質を高めていく過程にはおもしろさがあった。
この記事では5つのポイントを上げながら、『Hundred Days』 をレビューしていく。
ジャンル | ワイナリー運営シム |
発売・開発元 | Broken Arms Games |
プラットフォーム (ストアリンク) | Nintendo Switch PS4/PS5 PC (Steam) iOS Android |
日本語対応 | ◯ |
発売日 | Switch:2022年2月28日 PS:2022年3月17日 Steam:2021年5月13日 iOS:- Android:- |
価格 ※2021/10/15時点 | Switch:3,900円(税込) PS:3,300円(税込) Steam:2,570円(税込) iOS:730円(税込) Android:650円(税込) |
プレイ時間 | 10時間 (レベル100到達まで) |
- ワインに興味がある人
- 細かい違いを探求するのが楽しい人
手軽に学べるワイン作り
『Hundred Days』は新米のヴィントナー(醸造家)としてワイナリーを切り盛りしていく。
ワインが完成するまでの大まかな流れが分かり、飲み専門の筆者も理解が深まった。
まずワインを作る前段階のぶどうを収穫まででも工程が多く、一苦労。
収穫したぶどうからワインを作り上げるのにも、また多くの工程がある。
赤ワインと白ワインでは圧搾と発酵の工程が逆になることが分かり、興味深かった。
おいしい・普通・微妙以外の違いが分からない私もワインに興味が出てきたよ!
ワインが完成したら、個人や業者の言い値をチェックしながら販売して、売上を作っていく。
畑以外に3つの施設があり、
- ツールルーム:トラクターなどのぶどう作りに関するもの
- ぶどう園:樽やプレス機械などワイン作りに関するもの
- 倉庫:ワインの保管やショップ、マーケティングに関するもの
各施設にはスキルツリーが連動しており、アンロックすることでワイン作りの幅が広がったり、効率が上がる。
さまざまな要素があるが、基本的には
- ぶどうの収穫
- ワインの製造
- ワイン販売
を繰り返して、利益を増やしていくのが本作の流れとなる。
不安定なストーリーモード
『Hundred Days』 では《ストーリーモード》がチュートリアルの役割を果たすのだが、登場人物にクセがあり、プレイヤーによってはここで離脱しかねない。
プレイヤーは《おやじ》から届いた手紙を見て、都会での仕事を辞め、ワイナリーを引き継いで運営することになる。
登場するキャラクターはおしゃべり好きの隣人、偏屈で嫌味が9割の専門家など会話をするのにもうんざりする《個性》を持った人々だ。
基本、めんどくさいやつばっかり!
日本語には対応しているが、ローカライズの質は良くない。英語や中国語が突然出てきたり、同じキャラクターでも男言葉・女言葉が入り混じってしまっている。(1.2.4バージョン時点)
内容は文脈から理解できるため、チュートリアルとして最低限の役割は果たしているが、どうも気が散ってストーリーを楽しめない。
開発はこまめにアップデートで修正しているため、今後は直るかも……。
パズル&カードゲームっぽさのある基本システム
『Hundred Days』 でプレイヤーに渡される工数は敷地のマスとターンで表される。
各工程はカードとなって表示され、それぞれが違った形となっている(L字、T字など)。
テトリスのように敷地にハメ込んでいき、全てを終えたらターンを終了させ、次に進む。
敷地の面積はスキルツリーでアンロックして広げられるが、最大まで拡張しても大した広さにはならない。
カードも畑の数に応じて増えていくため、ぶどう畑が多くなるとパズルを上手くハメ込んだとしても生産が間に合わなくなるケースが発生する。
そのため、各作業にかかるターン数を削減するために設備や装置をアンロックして購入する必要がある。
ワイン製造以外にも機器のメンテナンスやマーケティングもマスを使うから、タイミングによってはマスが不足する
プレイヤーの行動をマスによって制限し、そこに各設備を絡める作りは練られているが、筆者はパズル要素自体に必要性を感じず、窮屈なプレイを強いられていると感じた。
PCでじっくりプレイするゲームというよりはスマホゲーに近いか……。
パズルよりシムがやりたいんじゃーーーーー!
できる作業が少なく、単調さは否めない
『Hundred Days』はぶどうの種類やワインの製造方法などに違いはあれど、やること自体はシンプルだ。
多いと感じていた工程も慣れてくれば、単純な作業になりやすい。
ぶどう各種に合うワイン製造方法も一定のため、勘所を掴んでしまえば、ひたすら同じ流れを繰り返すだけだ。
単純作業に変化が生じるのは、イベント時だ。
ぶどうが熱波にやられ、品質が落ちてしまうイベントが発生したときには悔しい思いに駆られるし、ダニの被害を受けたときには必死に対処する。作っていたシャルドネがたまたまブームに乗って高値で売れるとうれしい。
作ったワインが安値で買い叩かれそうになるとムッとするし、出来が悪い年のワインを買ってもらえると助かった!という気持ちにもなる。
とはいえ、イベントはそれぐらいで少なすぎる。単調さをカバーするには至らなかった。
細かい調整で好みのワイン作りに楽しみが見いだせるか
『Hundred Days』の魅力はワイン作りに関する細かな設定・調整にある。
ぶどうの剪定ひとつを取っても手法は3つ、蕾の数も選べる。ぶどうの種類によって合う剪定手法も変わり、蕾の数と連動してぶどうの品質が変わるのだ。
発酵時間やポンプオーバーで、甘さやタンニン(渋み)を調整したり、
圧搾強度を変更することで、ボディ(味わい深さ)、タンニンを調整
樽に入れて熟成し、ボディの重さをさらに調整する
《酵母研究室》をアンロックすると自ら酵母までも作れるようになり、ワインに特定のフレーバーをつけることも可能になる。
自らが考える最高のワインを作るべく、細かい調整を繰り返していく作業が好きであれば、ずっとプレイしていられるだろう。
100点のワインを作って、ベストワインに選ばれるまで10時間かかった!
DLC「Grape Lab」では、ぶどうの品種作りも可能になり、よりマニアックになっている。
総合評価
総評:良い
3/5
『Hundred Days』はヴィントナー(醸造家)としてワイナリーを運営するシミュレーションゲームだ。
ぶどう作りからワインの販売までを手掛け、実際に数多くの過程を行うことで愛着が湧いて楽しい。
パズル・カードゲームのような作りでやたらと手数を制限される点や、クセのあるチュートリアルにはストレスを感じた。
ワイン作りのポイントが分かってきた中盤以降は単純作業になってしまい、おもしろみが削がれてしまった。
ぶどうの品種によって生育手法を変えたり、発酵・圧搾・熟成に酵母づくりと細かな調整によって起こる変化を見るのは興味深い。
本作はドンドン発展していくシムよりも細かな変化を楽しめるシムが好きな人に向いているタイトルだ。
- 愛着の湧くワイン作り
- 細かな調整で変化する製法
- クセのあるチュートリアル
- できることが少なく単純作業になりやすい
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