『サバイビング・ジ・アフターマス -滅亡惑星-』はフィンランドのIceflake Studiosが開発したシミュレーションゲームだ。
パブリッシャーは『Hearts of Iron』シリーズ、『シティーズ:スカイライン』などをリリースしてきたParadox Interactiveが担当しているが、今回PlayStation 4/Nintendo Switchの日本語版がセガから発売された。

世界が滅亡した後の荒れ地にコロニーを建設し、住民たちに再び生きる希望を見出せるよう、シェルターを完成させることが本作の目的。
その道のりは険しい。災害や無法者、危険生物から住民を守りながら、コロニーを安定的に運営するのは骨が折れるが、難局を乗り切ったときの達成感は格別だ。
この記事ではエンディングまでプレイした筆者が『サバイビング・ジ・アフターマス -滅亡惑星-』の高難易度のゲームシステムやメインストーリーを中心にレビューしていく。
読むのが面倒だなーという方は動画版のレビューをご覧ください!
ジャンル | コロニーシミュレーション |
発売元 | セガ (PS4/Switch) (公式サイト) Paradox Interactive (Xbox/PC) |
開発元 | Iceflake Studios |
プラットフォーム (ストアリンク) | Nintendo Switch PlayStation 4 Xbox Series One PC (Steam) |
日本語対応 | Switch:◯ PS:◯ Xbox:✕ Steam:×(Modあり) |
発売日 | Switch:2022年7月28日 PS:2022年7月28日 Xbox:2019年10月17日 Steam:2021年11月17日 |
プレイ時間 | 49時間 |
- サバイバル要素が好きな人
- 難易度の高いゲームを求める人
- 『Frostpunk』など、コロニーシムが好きな人
本記事はセガから商品提供していただき、作成しています。
“終わった”世界からもう一度立ち上がろう
『サバイビング・ジ・アフターマス -滅亡惑星-』は終末世界でコロニーを運営するシミュレーションゲームだ。
近代文明が生み出した発明の数々は枯れ果てている。何もない荒れ地から再び人間らしい生活を取り戻すべく、コロニーを発展させていくのがプレイヤーに課せられたミッションだ。

コロニーを大きく発展させるには手近にある資源だけでは足りない。
まだ見ぬコミュニティの発見や荒くれ者の退治、特別な素材の取得など、危険を冒してコロニー周辺の地域を探索しなければならない。
探索に役立つのがスペシャリストと呼ばれる特別な能力を持つキャラクターだ。
戦士、収集家、科学者など個別に得意分野が決まっており、適性に合わせて指示を出し、周辺地域を支配する。それによって外部からコロニーを支援する役割を持つ。

これらの要素に”災害”が加わる。
パンデミックや熱波、冬嵐、電磁嵐などさまざまな災いがコロニーを襲う。順調に進んでいたコロニー運営が一瞬で崩れ、ピンチに陥ることもあり、気が抜けない。

本作の最終目標は人々が安心して暮らせるシェルターの建設だ。
そのためには幾度となく襲いかかる災難を耐え抜き、自コロニーの運営と周辺地域の探索を両輪で回し続けなければならない。
難易度設定は弱気がおすすめ
『サバイビング・ジ・アフターマス -滅亡惑星-』はスタート前にさまざまな項目を組み合わせて難易度を決定するシステムだ。
災害の頻度や農耕に向いている肥沃(ひよく)な土地の量、生存者の数などが3段階から選択できる。


筆者は難易度50%でプレイした。
それでも序盤から中盤にかけては冬嵐で水が供給できずに水分不足になったり、食料が確保できずに飢餓状態の住民が出るなど、一歩間違えたら詰んでしまう展開だった。

“終わることのない辛苦“って負のパワーが強すぎるワードチョイスでしょ……(ゲームの内容にはバッチリの訳)



プレイしてみて物足りなければ難易度上げて再トライするといいわね。
終末世界を感じさせる荒廃した文明の残り香
『サバイビング・ジ・アフターマス -滅亡惑星-』の舞台である終末世界の雰囲気はさまざまな形で表現されている。
荒廃した”今”を感じさせる資源
コロニーシムは何もないところから資源を確保するものが多い。
本作で建築に使用する資源からは荒廃した土地の空気を感じる。
木を切って木材を得るのは他のコロニーシムと同じだが、金属は鉱山からではなく、朽ち果てた建物の残骸から収集する。
それ以外にもプラスチックやコンクリートなど文明の名残りを感じる資源も建物の残骸から集めていく。


汚染された場所もあり、特殊な施設を作って除染を行うのも珍しい。


マップ上には壊せない廃墟も存在し、コロニーが発展してからも荒廃した様子を漂わせている。





aftermathの意味は「戦争、災害の後、その影響」みたいなことね。タイトルを素直に訳すなら……「終末世界を生き抜け」ってところかしら。



(え……aftermars《火星となんか関係するのか?》と思ってたなんて、言えない……)
テックツリーで文明を取り戻す
他のコロニーシムと同様に本作にもテックツリーが搭載されている。
周辺地域を探索して得られる研究ポイントによって項目をアンロックし、能力の向上や建築可能なものを増やしていくのは定番だが、そこにも終末を感じさせる要素がある。
農耕の基本的な技術や学校教育、医療など、多くの技術はプレイヤーにとっても住民にとっても目新しいものではない。


終末が訪れなければ当然のように知っていた技術を取り戻すのは、過去からやり直すようで虚しさを感じる。
しかし、住民が今に絶望を抱きつつも、もう一度立ち上がっていく過程が見られるのは良い。不死鳥のように復活していく姿から勇気をもらえるのだ。
終末世界と言えども虫はツラいよ……
とはいえ、筆者が本当に無理だったのが“虫”要素。これだけはツラかった……。
虫の話です(+で開く)



食材の確保に苦労したからといって、ゴキブリを食べるのは本当に無理!



巣箱で卵から養殖?……おえ〜〜。



マップには巨大ゴキブリもいるから、恐ろしすぎて引きでプレイしたもん……(ズームすると危険)
災害に無法者集団、終末世界に安息時間はない
『サバイビング・ジ・アフターマス -滅亡惑星-』では穏当にコロニー運営できる期間は少なく、次から次へと危険が襲ってくる。
繰り返し訪れる災害を耐えきれ!
本作の特徴でもある“災害”要素。
平時のコロニー運営ではマンネリ感が生まれやすい。本作では不定期に災害が起こるため、被災時の対処やその後のリカバリーもしなければならず、プレイヤーは常に慌ただしく、タイミングにあった判断が求められる。
定期的に発生する”冬嵐”では作物がダメになり、池が凍ってしまい水が汲めなくなる。暖を取れない者たちは低体温症になってしまう。
作物や水、燃焼炉用の薪などの備蓄が住民を守るのだ。




資源だけが必要なのかといえば、そうではない。
パンデミックが発生すると医療施設の重要度が一気に上がる。
感染者に対して治療のスピードが遅ければ、住民の多くが感染し、死を招く可能性が高まる。
事前に複数の医療施設を建設し、キャパシティを保ち、迅速に治療を行えば、被害を最小限に抑えられるのだ。



どこかで聞いたような話ね。




他の自然災害にしても大切なのは事前の備えだ。災害発生の数日前にアナウンスはあるが、そこから準備していたのでは間に合わない。
住民の人数や資源の消費状況、エネルギーが使えなくなった場合の対処など常に災害を想定したコロニー運営が住民を守る。


襲い来る無法者を蹴散らせ!
災害ばかりに気を取られているとコロニーのゲート前に不審な影が……。
その正体は無法者。奴らは突然現れ、資源を要求してくる。多少の物品を渡して穏便に対処できる場合もあるが、賄賂を渡した場合に住民の士気が下がってしまうこともある。
そもそもなぜこんな荒くれ者に貴重な資源を渡さなければいけないのか。
さらに資源目当てですらなく、いきなり襲撃してくる輩もいる。
彼らは血に飢えた破滅主義者なのだ!
話が通じないヒャッハー集団とは戦うしかない。


戦いに備え、ゲートの守備に人数を割いて、なるべく早くアップグレードして盤石な状態にしておきたい。ゲートが突破された場合、奴らはコロニー内に侵入し、住民たちに襲いかかるのだ。


貴重な住民を失うわけにはいかない。スペシャリストをコロニーに残しておけば、彼らが戦ってくれるし、守衛所を作って守備者を増やしておくのも良い。災害もヒャッハー集団も備えが大切なのだ。
無法者以外にも生存者や行商人、謎の老婆などがゲートにやってくる。
行商人は数種類の資源のなかから物々交換ができるため助かるし、謎の老婆の問いに正解すれば褒美がもらえる。


とりわけ重要なのは生存者だ。
住民は子ども→大人→老人と成長し、最後には亡くなる。そのサイクルは一定で、人口は容易には増やせない。
コロニーを発展させるには人手がいるため、住民を増やす必要がある。後述するワールドマップに拠点を建設して生存者を送り届けることも可能だが、増加スピードは遅い。
生存者グループを受け入れるとその瞬間にコロニーの働き手が増え、持っている物資は備蓄に追加される。スペシャリストも一緒になっている場合は、雇う費用が削減できるなど、プラスが多い。


一方で生存者グループの内訳には注意を払う必要がある。
大人が多い場合は問題ない。子どもが多ければ働けるようになるまで時間がかかるし、老人は寿命が短く、亡くなるとコロニーの士気が下がってしまう。
コロニーに受け入れた瞬間に虐殺者と化して住民を攻撃する輩もいるため、だれでもホイホイと入れるわけにはいかない。状況によっては生存者を受け入れない選択も必要だ。



子どもが困っているというから招き入れたら資源を盗んで去っていった……人間不信になるよ……
コロニー内部にも”敵”が潜んでいる
敵は常に外部からくるわけではない。
コロニー内には敵対生物がおり、住民たちを虎視眈々を狙っている。
コロニー周辺には巨大化したゴキブリやムカデ(サンドワーム)などがおり、住民が生息場所の近くを通ると突如として襲いかかる。守衛の対応範囲であればまだいいが、未開の地だった場合はかなり危険だ。


危険生物の居場所が特定できたら、戦士のスペシャリストを向かわせて退治するのが安全に対処する方法だ。



倒した後にその残骸が食材になるんだ……



おえ〜〜
ストーリーの盛り上がりはあと一歩
『サバイビング・ジ・アフターマス -滅亡惑星-』にはメインとなるストーリーがある。
”明日への希望”と題されたプロジェクトを完遂するのがプレイヤーに課されたミッションだ。


かんたんに言えば、人々が安全に暮らせるシェルターを完成させるというシンプルな目標だ。
そのためには敵対勢力を倒したり、医学や防衛といった知識を収集しなけばならない。
知識の収集はスペシャリストを技術者に変えて各地に技術拠点を建設する必要がある。
すぐに終わるようなものではなく、知識を集めるにもかなりの時間がかかる。参考程度に言えば技術拠点1つから得られるポイントはゲーム内時間で1時間:1%にも満たない。それが4種類あるのだ。


スペシャリストを補充できるタイミングは4日ごと。
知識を集めている間にも別のミッションが発生し、知識の取得がストップするタイミングもあり、プロジェクトには時間をかけて取り組む必要がある。
メインミッションと並行して、自然災害、略奪者、危険生物など数多くの危険がコロニーを襲う。
初めて遭遇したときは身構えるが、一度経験してしまえば、次回から危険の大きさがある程度予測できるため、スリルは減っていく。コロニーが安定してきた後半には少し物足りなさがあった。
筆者は終盤になるとメインミッションに新たな動きが出るのを待つためにプレイするような状態になってしまった。
似たようなサバイバル系のコロニーシム『Frostpunk』では徐々に吹雪が強烈になっていくなど、終盤に向けて盛り上がっていく作りになっている。
本作もストーリー展開によって徐々に試練のハードルを上げて、スリルを生み出す仕組みがほしかった。
ワールドマップとスペシャリスト
『サバイビング・ジ・アフターマス -滅亡惑星-』の特徴としてスペシャリストの存在がある。


スペシャリストは最大10名保有可能で、コロニー外のワールドマップでの活動が主となる。
コロニーの周辺地域を探索し、コミュニティを発見したり、素材収集したりとそれぞれの特性にあった行動をさせ、その働きでコロニー運営を助ける。
彼らは4つの職業のどれかを専門としており、
- 戦士:敵との戦闘
- 収集家:素材収集
- 科学者:研究ポイントの収集
- 偵察者:移動スピードが速い
とそれぞれ特性を持っている。
戦士が研究ポイントを収集することもできるが、科学者とは収集スピードが段違いであるため、基本的にはそれぞれの能力を活かせる任務を与えた方が良い。


ワールドマップはマス目で構成されており、スペシャリストごとに1度に移動できるマスが決まっている。特定時間が経過すると再び動ける仕組みだ。


移動以外の行動もそれぞれの能力によって変わる作り。
資源回収なら収集スピードが150%の者と200%の者では処理するスピードが変わるし、戦闘は戦士1人で戦うよりも複数の戦士を集めて一気呵成に攻め込んだ方が勝利する可能性が高く、短時間で決着を見ることが多い。


スペシャリストを開拓者に変えると、ワールドマップ上に拠点を築けるようになる。
拠点の設置場所により、特性が異なり、その地で製造されている資源を継続的にコロニーへ供給したり、生存者を送って住民を増やすなど必要に応じた拠点選択ができる。
その代償として開拓者となったスペシャリストは戻ることはできず、失われる。




資源の供給は重要度が高い。
たとえば、高度な建築物に多く使われる電子部品の素となるレアメタルはコロニーで収集するのが不可能であるため、拠点からの輸送に頼ることになる。
探索によって別のコミュニティを見つけ出すと市場で取引できるようになるのも大きい。
初期状態では保有していない家畜などを購入したり、あまった資源を売って、収入を元手にスペシャリストを雇うなど、コロニーの発展には取引が欠かせない。




このようにスペシャリストはコロニー運営には不可欠な存在である。
コロニーとワールドマップを行き来しながらのプレイは気分転換にもなり、物資補給の面でも戦略性が問われる作りになっていた。
クリアまでのプレイ時間は49時間
筆者がエンディングを見るために費やしたプレイ時間は49時間だった。
終盤はメインストーリーを進めるためにボーっと見守る時間もあっため、コロニーの運営とワールドマップの探索を上手く両立すれば、さらに短い時間でクリア可能だろう。
やることはシンプルだが、コロニーとワールドマップを行き来したり、災害が発生するおかげで終盤まで飽きずにプレイした。満足できるボリュームだった。
総合評価
『サバイビング・ジ・アフターマス -滅亡惑星-』は終末世界を生き抜くコロニーシミュレーションだ。
荒廃した世界で住民たちが、過去の文明をなぞるように知識を獲得し、もう一度立ち上がろうとする姿は凛々しく、シェルターを完成させるという目的を達成したい気持ちに駆られる。
数々の災害や無法者、危険生物たちは恐ろしく、単調になりがちなコロニーシムに刺激を与えているが、後半になると定番化し、盛り上がりが物足りなく感じる場面もあった。
スペシャリストを用いたワールドマップの探索はコロニー運営と別のプレイフィールで気分の切り替えになり、コロニーへの資源提供につながるのも良かった。
本作はサバイバル要素の強いコロニーシムや骨太な難易度を求めるプレイヤーにおすすめしたいタイトルだ。
- 過酷な環境でのコロニー運営
- 終末を感じさせる雰囲気
- ストーリーの盛り上がりが薄め
動画版のレビューもあわせてご覧ください。
- My Nintendo Store
- PlayStation Store
- Microsoft Store※日本語なし
- PC (Steam)※日本語はModのみ



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このページで使用している『サバイビング・ジ・アフターマス -滅亡惑星-』のゲームキャプチャ画像は Iceflake Studios / Paradox Interactive / セガの著作物です。転載、配布等は禁止いたします。