シミュレーションゲームは「難しそう」というイメージで敬遠されることが多い。
『ツーポイントホスピタル:ジャンボエディション』 ではシミュレーションゲームに「病院経営」という硬いテーマをかけ合わせている。
実際プレイしてみると、個性的で明るいシミュレーションだ。
プレイしながら思わずニコニコしてしまうコミカルな演出、ジョークのオンパレード。難しい専門知識は一切不要だ。
《いかにプレイヤーを楽しませるか》が考え尽くされており、はじめてシミュレーションゲームをプレイする人でもかんたんにプレイできる。
この記事では7つのポイントを上げながら、 『ツーポイントホスピタル:ジャンボエディション』 をレビューしていく。
ジャンル | 病院経営シム |
発売元 | SEGA(公式サイト) |
開発元 | Two Point Studios |
プラットフォーム (ストアリンク) | PS4 Nintendo Switch PC (Steam) |
日本語対応 ※2021/8/31時点 | PS4:◯ Nintendo Switch:◯ Steam:× |
発売日 | PS4:2021年7月29日 Switch:2021年7月29日 Steam:2018年8月30日 |
価格 ※2021/8/31時点 | PS4:4,488円(税込) Switch:4,488円(税込) Steam:3,888円(税込) |
プレイ時間 | 91時間(本編のみ) |
- はじめてシミュレーションゲームをプレイする人
- 明るくシャレがきいたゲームを好む人
【実在の病気が登場する病院シム】
>>『Project Hospital』レビューを読む
本記事はセガから商品を提供いただき、作成しています。
一大医療財団を作ろう!
『ツーポイントホスピタル』は医療財団の経営者として、各地に優れた病院を作り、運営するゲームだ。
来院する患者に合わせて、設備・スタッフを用意し、診察や治療を行い、収入を得る。
スタッフは
- 医師・看護師:患者の診察/検査/治療を行う
- 事務員:受付/売店を担当する
- 管理人:機器のメンテナンスや清掃を行う
と仕事が分かれており、さらに医師のなかでも外科・精神科など専門的なスキルを持つ人材でないと対応できない科もある。
提示された課題をクリアし、最終的に3つ星病院を作ればマップクリアだ。
マップクリア後は課題に縛られず、自由に病院を作れるサンドボックスモードもプレイ可能となっている。
ジョーク満載の明るい雰囲気
病院と言えば、病人やケガ人が集まる場所。
しかし、『ツーポイントホスピタル』の雰囲気は底抜けに明るい。
病気は架空の病気でシャレのきいたものが多く、その説明もおもしろおかしく書かれている。
- トーク症:自分の身の上話や意味のない話を一方的にするようになる疾患
- せっかちアレルギー:物事を素早く行わなくてはならない時に発症する不快な発疹
- 不平不満ション病:マンション特有のご近所トラブルによって引き起こされる、慢性的なイライラ感
実際に着ぐるミイラ症の治療を紹介する。
患者の家族が來世のために体を包んだが、実際には患者は単に昼寝をしただけだったため、複数の儀式、防腐処理された着ぐるみを取り除く必要がある。
病院に設置するアイテムや従業員名までもがクスッと笑ってしまうものになっている。
本作はあふれるユーモアで、医療知識のないプレイヤーでも楽しみながら病院運営できる作りだ。
翻訳がすばらしい! 優れたローカライズ。
医療知識がなくても大丈夫!親切設計で楽しめる
『ツーポイントホスピタル』最大の特徴は分かりやすさだ。
チュートリアルは充実しており、最初のマップから順を追って進めていくと病院経営のイロハが身につく。
プレイ中も何かトピックがあれば案内役がアドバイスをくれるため、プレイヤーはどこに問題があるのかすぐに分かる親切設計だ。
そして本作で一番注目したいのは《医療知識が全くなくても》プレイできるところにある。
一見ふざけたような病気と治療施設ばかり。公式でも《ヘンテコ》病院と書かれているくらいだ。
しかし、裏を返せば誰も知らない病気である。
医療の素人も専門家も全員が同じラインに立ち、病院運営をしていく。そこに知識の差はなく、誰もが楽しめるのが本作最大の魅力だ。
物理的に頭が白熱電球になってしまう白熱頭症の治し方なんて、本物の医師でも知らんがな!
頭ごと付け替えるのが正しい治療法よ
◯ンパンマンーーーー新しい顔よーーーーーー!!
豊富なマップに挑戦しがいのあるミッション
PS4/Switch版『ツーポイントホスピタル』には本編:15コ、DLC:6コのマップが収録されている。
最初の3つはチュートリアルを兼ねた内容になっており、残りの12マップが本格的なチャレンジだ。
マップによって特性が異なり、
- 発生する病気の種類
- 地震発生の有無
- 気候の違い(寒暖)
などそれぞれに合わせた病院運営を行う必要がある。
ミッションもさまざまで、
- 病院の価値を高める
- 多くの患者を治療する
- 高い完治率を達成する
など、複数の目標を達成すると星が獲得でき、最終的にすべての目標値を達成して3つ星病院になればマップクリアとなる。
1時間程度でクリアできるチュートリアルマップから8時間かけてやっとクリアできる壮大なマップまで、シミュレーション初心者から「通」まで楽しめる。
私は完璧主義者なので時間がかかったけど、クリアだけを目指すならもう少し短時間でもクリア可能なはず。
それぞれの地域性を踏まえ、ミッションに対応しながら、病院を大きくしていく戦略性と患者たちが治癒していく過程を眺めるワクワク感には中毒性があり、長時間プレイしても全く飽きなかった。
次々に降りかかるミッションをこなせ
『ツーポイントホスピタル』 は病院が軌道に乗ってからも、プレイヤーにはさまざまな仕事が振られる。
レベルが上がるごとに来院する患者が増加するため、診療室や待合スペースを増やしたり、職員のレベルを上げるために研修を行うのは継続的な仕事だ。
さらに職員たちからは、
- ◯人を治療する
- ◯円稼ぐ
などのミッションが振ってくる。クリアすれば収入の増加や職員満足度の上昇につながるため積極的に行いたい。
シミュレーションゲームは、ある程度作りが完成すると画面を眺めているだけになることもあるが、本作ではプレイングマネージャーとして次々に仕事をこなしていくため、休んでいる暇はない。
なんか仕事並みに集中して毎日8時間ぐらいやっていたわね。
オブジェクトが増えると処理落ちも……(PS4無印でのプレイ)
『ツーポイントホスピタル』 のマップはまず1つの区画からはじまり、収支が安定してきたら、周囲の区画を購入して病院の敷地を拡大していく。
病気は診察と投薬だけで対応できるものから、手術や大掛かりな医療機器を駆使して治療するケースもあった。
多くの病気に対応しようとするとそれなりに使用区画が増えて、オブジェクトも増える。
ハイレベルな施設に育てると、徐々に処理落ちを起こして画面のスクロールがカクカクになってしまう場面も……。
処置落ちからゲームが強制的に落ちたのはプレイ時間91時間のうち2回だった。
PS4のシミュレーションゲームは処置落ちと強制終了に遭遇することがよくあるが、本作は年1回自動セーブが入るため、イチからやり直しになることはなかった。
ただし、大きなレイアウト変更を行ったタイミングでは手動セーブしておいたほうがよい。
ラジオ風の演出とコミカルなBGMがくせになる
『ツーポイントホスピタル』のBGMはコミカルで耳馴染みのよい曲が多い。
曲が変わったタイミングで画面右に曲名とアーティスト名が表示されるのだが、もちろんふざけたネーミングになっている。
オヤジザルズ『カチコチ・ベル』、ラ・フレミントン『病院サンバ』、ホンヤクサイ『ERのお邪魔虫』あたりがいい味を出している。
曲の切り替わりタイミングで突然ラジオDJが入ってきた後に、数秒流れる女性ボーカルの曲がカッコよく、もっと聞きたいのにすぐ終わってしまうのが残念。
診察室への呼び出しなど、病院内のアナウンスも流れる。
総合評価
『ツーポイントホスピタル:ジャンボエディション』はユーモア満載の病院経営シミュレーションゲームだ。
登場する病気やスタッフなどはシャレが満載で、動きもコミカルでかわいい。普段はシミュレーションゲームをプレイしない人もとっつきやすいだろう。
難しい医療知識は一切不要。すべてのプレイヤーが平等に扱われ、誰しもがイチからヘンテコな病気を理解していく過程は《難しそう》と思われるシミュレーションゲームの敷居を下げることに成功している。
巨大な病院を作り上げたときに発生する処理落ちは多少気になるが、常にさまざまなミッションが起こり、飽きのこない作りは文字通り《時間泥棒》と呼べるほどにのめり込んで楽しんだ。
本作はベテランのシミュレーション好きだけでなく、これからシミュレーションゲームをはじめてみようと思うプレイヤーにもおすすめできるタイトルだ。
- ユーモアのある病気やスタッフ
- 医療知識は一切不要のかんたんさ
- 飽きのこないミッション
- 病院をかなり拡大すると発生する処理落ち
- PlayStation Store
- My Nintendo Store
- PC (Steam)
※PC版は日本語なし
【実在の病気が登場する病院シム】
>>『Project Hospital』レビューを読む
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このページで使用している『ツーポイントホスピタル:ジャンボエディション』のゲームキャプチャ画像、提供画像はTwo Point Studios / SEGAの著作物です。転載、配布等は禁止いたします。